若手のアーティスト、西山瑞貴はアジア、イタリア、ニューヨークでの生活と学びを経験し、多文化的な背景を持っています。彼女は様々な場所での経験から、若いアジア系女性が文化、社会、政治のさまざまな制約に直面していることを痛感しています。彼女にとって絵画とは、生活の混沌から思考を整理し表現するプロセスです。
近期、新藝潮畫廊は、「正座：感知と超越」と題した展示会を開催し、10枚の最新作品を展示しました。この展示では、女性が直面する脆弱な状況を作品から考察するよう観客を招待しています。
西山瑞貴の作品は強烈な表現主義のスタイルを持ち、彼女自身の不安やトラウマから多くのものを引き出しています。今回の展示のテーマは、日本の伝統的な正座の姿勢を象徴として選ばれました。両膝を曲げ、両手を下に置き、膝に向けるこの姿勢は、日本人の社交礼儀への厳格な遵守を表しています。しかし、真面目な座り方の裏には、作品の主人公たちが自由を求める強い欲望をほとばしらせており、伝統的な規範や現代のジェンダー政治の枷の中で、自己解放を示しています。
この作品は鮮やかな赤色を基調とし、やや奇妙な人体を描き、西山瑞貴が女性の身体に対する主観意識を表現しています。座っているポーズだけでなく、性別のわからない2つの人体が向かい合っており、2人が卓袱台の上にいる設定は、彼らが他人の注目を浴びている可能性を示唆しており、2人の脆弱な状態を際立たせています。また、アーティストはここで日本語のフレーズ「ちゃぶ台返し」（怒りや不満などの感情に駆られて卓袱台をひっくり返すことを意味する）を引用し、アジアの男性の期待がしばしば危険な状況を引き起こすことを指摘しています。
また、西山瑞貴はこの作品群で個人的な感情を惜しみなく表現しており、その中には画家である母親との密接な関係も含まれています。観客には彼女と家族の絆、内に秘めた深い感情を感じさせます。
上記の作品では、アーティストが女性の感情に対する社会の様々な束縛を意図的に打破しているのが見て取れます。皆さんはぜひ展示会を訪れて、この若い画家が性別の制約に対するさまざまな洞察を感じてみてください。
「正座：感知と超越」
日付：2022年3月24日から4月8日（週末休み）
時間：午後2時半から6時半
場所：新藝潮画廊 香港中環威靈頓街86から90号通濟大廈2階201室
画像の出典および詳細はこちら：新藝潮畫廊
