春の息吹が感じられるパリで、Fondation Louis Vuitton（ルイ・ヴィトン財団）は現代アートの巨匠、David Hockneyによる最大規模の個展を開催しています。この壮大なアートの祭典は7つの世代にわたり、1955年から2025年にかけて制作された400点以上の作品が集結。彼の象徴的なスイミングプールシリーズの絵画から、近年iPadで制作されたデジタルアートまで、88歳のアーティストの創作への絶えることのない情熱が余すところなく表現されています。
20世紀で最も影響力のあるイギリス人アーティストの一人と評されるDavid Hockney。その創作スタイルは具象から抽象、伝統的な油絵からデジタルアートに至るまで、多彩で驚異的な創造力を発揮しています。現在も新しい表現形式を探求し続ける彼の姿勢は特筆に値します。さらに注目すべきは、今回の展示会の企画において、David Hockney自身が展示の細部に至るまで直接関与し、彼の芸術へのこだわりを見せている点です。
今回の展覧会は、Fondation Louis VuittonのアートディレクターであるSuzanne Pagéがメインキュレーターを務め、客員キュレーターのNorman Rosenthalと共同で企画されました。展覧会のタイトルは《デイヴィッド・ホックニー 25》ですが、実際には彼の人生最後の25年間に焦点を当てています。同時に、彼の初期のキャリアにおける作品も含まれており、時間軸に沿った構成で展示が行われています。作品は4つのフロア、11の展示室にわたって配置されており、展示されている作品の多くは世界各地の博物館、個人コレクション、さらにはアーティスト本人のスタジオや財団から提供された貴重なコレクションです。
時間の流れに沿って、最初に登場するのは、1955年に当時18歳のデイヴィッド・ホックニーが父親のために描いた肖像画で、彼の初期の創作力を披露しています。その後、観客を彼の最も知られるカリフォルニア時代へと導きます。ここでは《ア・ビガー・スプラッシュ》（1967年）や《アーティストの肖像（プールと二人の人物）》（1972年）などの代表作が展示され、ロサンゼルスの光にあふれるプールサイドの情景を見事に捉えた作品群が楽しめます。展覧会では特に《4年ノルマンディーで》コーナーが設けられ、2020年のパンデミック期間中にiPadで制作した220作品が展示されており、自然光と影への鋭い観察眼が表現されています。最後の展示室では最新作が紹介され、エドヴァルド・ムンクからインスピレーションを受けたシリーズなど、アーティストの絶え間ない革新の精神が感じられる作品が並びます。
特筆すべきは、展覧会が同時に彼のヨーロッパ美術史へのオマージュ作品を展示している点です。ルネサンスから現代アートに至るまで、彼が芸術の伝統に対して深い理解を持っていることを表現しています。また、彼がオペラのためにデザインした舞台作品を再現し、59 Studioとのコラボによる没入型映像インスタレーションを通じて、観客はDavid Hockneyの舞台芸術への情熱を直接体感することができます。
まさに、David Hockney が外壁に残したあの標語《覚えていてください、春は決して奪えないものです。》は、彼の反抗的でユーモア溢れる個性を見事に体現しています。
デイヴィッド・ホックニー 25
日時：2025年4月9日 – 8月31日
時間：11 AM – 8 PM
場所：Fondation Louis Vuitton｜8, Avenue du Mahatma Gandhi Bois de Boulogne, 75116 Paris
出典 @fondationlv fondationlouisvuitton, lvmh.com, @pacegallery
